城北接骨院

麦茶ではミネラルは補えません|夏の疲れを秋に持ち越さないための食事の話

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麦茶ではミネラルは補えません|夏の疲れを秋に持ち越さないための食事の話

麦茶ではミネラルは補えません|夏の疲れを秋に持ち越さないための食事の話

2026/09/25



触ると、熱がこもっています
 

今年、施術中にこういう訴えをよく聞きます。

「なんとなく体がだるい」
「どこがどうというわけじゃないんだけど、すっきりしない」
「エアコンをつけて寝ているのに、背中が暑くて寝苦しい」
「冷房の効いた部屋にいるのに、汗が出てくる」

どれもはっきりした症状ではありません。病院へ行くほどでもない、
けれど確かに調子が悪い。そういう状態です。

こういう方の体に触れると、熱がこもっていると感じることが多いんです。
 

これは私の実感ですが、体が熱をうまく発散しきれていない。
そんなふうに思えます。
ご本人は自分の体温を外から測っているわけではありませんから、
熱がこもっていると言われてもぴんとこないでしょう。
ただ、こちらが手を当てると分かります。今年はそういう方が本当に多い。

熱があるなら外へ出ていけばよさそうなものですが、そうならない。

なぜ抜けていかないのか。そこから話を始めさせてください。
 



体はずっと、熱を逃がす仕事をしています

暑い日に汗をかくと、不快に感じますよね。
できればかきたくないと思う方も多いでしょう。

でも汗は、体がサボっている証拠ではありません。
むしろ逆で、必死に働いている証拠です。

体温が上がると、体はまず皮膚の血管を広げます。
血液を体の表面に多く流して、そこから熱を外へ逃がすためです。
それだけでは足りないときに汗をかきます。
汗そのものが体を冷やすのではなく、汗が蒸発するときに熱を持っていってくれる。
この二つで体温を保っています。
 

ところが、湿度が高いと汗が蒸発しにくくなります。
かいた汗が肌の上に残ったままになる。
あれでは熱が出ていきません。風のない場所ならなおさらです。

今年は湿度の高い日が長く続いていますね。
おまけに一日のうちの気温差も大きい。
外は蒸し暑いのに、部屋に入れば冷房が効いている。
その行き来を毎日繰り返している。

さらに、皮膚の血管が広がれば、
その分だけ体の中を巡る血液のバランスにも影響が出ますし、
汗をかき続ければ体の水分は減っていきます。
こうしたことが重なると、熱を逃がす働きが追いつかなくなることがあるとされています。

つまり体は、この暑さの間ずっと熱を逃がす仕事をし続けてきたわけです。
そしてその仕事は、今もまだ終わっていません。

働き続けたということは、その分だけ体から出ていったものがあるということです。
 



汗で出ていくのは、水だけではありません
 

夜中に足がつって目が覚めた。
ふくらはぎがこむら返りを起こした。
今年、そういう話もよく聞きます。

汗の中には、水分だけでなくミネラルが入っています。
ナトリウム、カリウム、マグネシウムといったものです。
汗をかけばかくほど、これらも一緒に出ていきます。

このとき水分だけを補い続けると、どうなるか。

体の中のミネラルが薄まってしまうんです。
大量に汗をかいているのに水ばかり飲んでいると、
血液の中のナトリウムの濃度が下がって、体のバランスが崩れる。
足がつる、こむら返りが起きる。
そういうことが起こりやすくなるのは、これが理由です。

熱中症の診療の世界でも、以前は「水分と塩分」と言っていたものが、
近ごろは「水分と電解質」という言い方に改められました。
ナトリウムだけの話ではない、ほかのミネラルも大事だ、ということです。

汗で出ていったのは水だけではない。
ここまでは、そう難しい話ではないと思います。

問題は、では何で補うかというところです。
多くの方は、ここで飲み物を思い浮かべます。
 



麦茶では、ミネラルは補えません
 

「ミネラルはしっかり摂っていますよ。麦茶を飲んでいますから」

このお答えを、本当によくいただきます。

気持ちはよく分かります。
麦茶にはミネラルが入っていると言われますし、
実際にまったく入っていないわけでもありません。
夏になれば冷蔵庫に切らさないようにしているご家庭も多いでしょう。
水分を意識して摂っていること自体は、いいことなんです。

ただ、汗で失った分をそれだけで取り返そうとするのは、少し無理があります。

汗で失ったものは、水分で補うものではないんです。

ここは大事なところなので、もう一度申し上げます。
水分は水分として必要です。

それは摂ってください。

けれど、汗と一緒に出ていったミネラルは、
水分をたくさん飲むことでは戻ってきません。
別のものとして考えていただきたいんです。

では何で補うのか。

その前にもうひとつ、お伝えしておきたいことがあります。
 



飲み物ばかりだと、体が冷えます


暑いからといって冷たい飲み物ばかり摂り続けると、
今度は体が冷えてきます。

胃腸は特に冷えに弱いところです。
冷えれば働きが鈍って、食べたものをうまく処理できなくなります。

ここでややこしいのは、体の表面では暑さを感じているのに、
内側は冷えているという状態が起こることです。
熱がこもっている感じがするのに、お腹は冷えている。
矛盾しているように聞こえるかもしれませんが、

表面で感じる暑さと、内臓の冷えは、別のものとして考えてください。

冷たいものを飲み続けて胃腸が冷えると、
食事が入りにくくなります。
夏の終わりに「疲れが抜けない」とおっしゃる方は、少なくないんです。

つまり、飲み物をたくさん摂ることで解決しようとすると、
うまくいかないどころか、別の問題が出てくることがある。

補う先は、飲み物ではありません。
 



飲むより、食べたほうが早いんです


ここが今日いちばんお伝えしたいところです。

水分もミネラルも、飲み物から摂るものだと思われがちですが、
実は食事からもかなりの量が入ってきています。

ごはん、汁物、野菜、果物。どれも水分を含んでいます。

三食きちんと食べているだけで、体にはそれなりの量の水分が入っているんです。

しかも食事から摂れば、水分と一緒にミネラルもたんぱく質も入ってくる。

飲み物で水分だけを流し込むのとは、まるで意味が違います。

「一日に何リットル飲まなきゃいけない」

という数字を気にされる方がいますが、

私はそこにこだわりすぎなくていいと思っています。

数字を追いかけるより、食べる回数を減らさないことのほうがずっと大事です。

暑さで食欲が落ちて、一食抜いてしまう。
その一食分だけ、水分もミネラルもたんぱく質も入ってこなくなるわけですから。

三食食べること自体が、体に足りないものを戻す機会になっています。

ただし、ここで多くの方が別の方向へ進んでしまいます。

 


 

「体を冷やす食べ物」に走らないでください

 

「体に熱がこもっている」と聞くと、たいていの方はこう考えます。

じゃあ、体を冷やす食べ物を食べればいいんだな、と。

きゅうりを食べる、すいかを食べる、海藻で熱を取る。

そういう話を耳にされたことがあるかもしれません。

私は、そこへ向かってほしくないと思っています。

体の熱を逃がしているのは、あくまで体そのものの働きです。

皮膚の血管を広げ、汗をかいて蒸発させる。

この仕組みが熱を外へ出しているのであって、

食べ物が熱を消してくれるわけではありません。

冷やす方向へ走れば、

さきほどお話しした「内側が冷える」ほうへ進んでしまいます。

食事の役割は、熱を消すことではありません。

暑い間に足りなくなったものを、体に戻すことです。

汗で出ていった水分やミネラル。

食欲が落ちた分だけ入ってこなかったたんぱく質やエネルギー。

そういうものを、普段の食事で少しずつ戻していく。

熱そのものへの対処は、涼しいところにいること、

休むこと、必要な水分と電解質を摂ること。

こちらが基本です。食事は、その土台を支えるものだと考えてください。

では、何を食べればいいのか。

 


 

海藻、きのこ、そして昔ながらの梅干し

 

私がよくお願いしているのは、

海藻ときのこを意識して取り入れてください、ということです。

わかめ、のり、ひじき。

しめじ、えのき、しいたけ。特別なものではありませんね。

味噌汁に入れるだけでいいですし、酢の物にしてもいい。

あわせて、豆腐や納豆などの大豆製品、

芋類、旬の野菜、果物、ごまやナッツ、それにごはんなどの穀類。

汗で失われやすいカリウムは、野菜、海藻、芋、豆といった植物性の食品に多く含まれています。

マグネシウムなら、豆類やごま、ナッツ、海藻から摂れます。

普段の食卓にあるものをいくつか組み合わせれば、それで足りるということです。

サプリメントや特別な健康食品を買い足していただく必要はありません。

それからもうひとつ、昔ながらの、しっかり酸っぱい梅干しをおすすめしています。

最近は甘く漬けたものや、塩分を控えたものが増えましたね。

それが悪いというわけではないんですが、

汗をかいた後に補うという目的なら、

昔ながらのもののほうが向いています。

一日に一粒か二粒、ごはんと一緒に食べるなり、お茶うけにするなり。

それくらいで構いません。

ひとつ気をつけていただきたいことがあります。

腎臓の働きが落ちていてカリウムを控えるように言われている方、

血圧の関係で塩分を控えるように言われている方は、主治医の指示が優先です。

この記事よりも、そちらに従ってください。

とはいえ、こう並べられても困りますよね。毎日これを全部揃えるのは大変です。

 


 

献立を変えなくていい。一つ足すだけです

 

暑い時期は、どうしても食事が簡単なもので済みがちになります。

それを悪いこととは思いません。

作る側の負担もありますし、

食欲がないときに無理をするほうが、かえって体には応えます。

ですから、今あるものを減らすのではなく、

何か一つ足していただきたいんです。

たとえばそうめん。

そこに豚肉やハムをのせる。

わかめを足す。

オクラやみょうがを刻んで散らす。

ごまをふる。これだけでたんぱく質もミネラルも入ってきます。

手間としては、ほんの少しでしょう。

冷やし中華でもそばでも、考え方は同じです。

おにぎりだけで済ませそうなときに味噌汁を一杯つける。

それも立派な「一つ足す」です。

 

なぜ、これだけでいいと申し上げるのか。

最初にきついことをすると、たいてい続かないからです。

献立を全部見直してください、

毎日一汁三菜にしてくださいと言えば、

正しくは聞こえるかもしれません。

けれど三日でやめてしまえば、何も変わりません。

続かないことに意味はないんです。

一つ足すだけなら、明日もできます。来週もできます。

それが結局、いちばん遠くまで行けます。

この考え方は、食事に限った話ではありません。

体を動かすときも、私は同じことをお願いしています。

 


 

小さく動かすことから始めます

 

筋力に自信のない方、長く運動から離れている方に、

私はいきなり回数や時間を求めることはしません。

お願いするのは、大きく、ゆっくり動かすこと。それだけです。

人の体というのは、動かさない時間が長くなると、

動かし方そのものを忘れていくところがあります。

筋肉が落ちているというより、その筋肉を使う感覚が薄れてしまう。

だからまず、動かせるということを体に思い出してもらいます。

このとき、最初から頑張ってしまうと、たいてい途中でつらくなってやめてしまいます。

一度やめてしまうと、次に始めるのがおっくうになる。

それがいちばんもったいない。

ですから、少なすぎるくらいから始めていただきます。

物足りないと感じるくらいでちょうどいいんです。

食事の話と同じですね。

一つ足す。

少しだけ動かす。

どちらも、続けられることに意味があります。

 


 

こういうときは、様子を見ないでください

 

これだけは必ず読んでください。

ここまで「夏の疲れ」の話をしてきましたが、

次のような症状があるときは、夏の疲れとして片付けないでください。

 

・めまい、立ちくらみ

・頭痛、吐き気

・強い倦怠感

・大量の汗、あるいは汗が出なくなる

・手足のしびれ、こむら返り

こうしたときは、まず涼しい場所へ移って休んでください。そのうえで水分と電解質を補給します。

そして、次の場合はすぐに救急車を呼んでください。

 

・呼びかけへの反応がおかしい、意識がはっきりしない

・自分で水を飲むことができない

この二つは迷わなくて大丈夫です。

ためらわずに119番してください。

意識のはっきりしない方に無理に水を飲ませるのは危険ですので、それも避けてください。

秋が近づいても、暑い日はまだ続きます。

「もう九月だから」と油断なさらないように。

 


 

院長からのメッセージ

 

私が目指しているのは、五年後、十年後も、みなさんが自分の足で動けている体です。

それも、なんとか動けているという状態ではなく、

自分の体に自信を持って動ける体であってほしいと思っています。

体力に自信がない、筋力が弱い、はっきりしないけれど調子が悪い。

そういう方ほど、自分の体を信用できなくなっていきます。

動かすのが怖い、また痛くなるんじゃないか、と。

その気持ちが動かない時間を長くして、体をさらに動かしにくくしていきます。

そこを変えていきたいんです。

だから、いつも小さなことからお願いしています。

一つ足す。少しだけ動かす。

それを続けていただくうちに、体が動くという感覚が戻ってきます。

感覚が戻れば、自分の体を信じられるようになります。

そうなればもう、こちらが言わなくても動けるようになっていきます。

今年の暑さは長く、厳しいものになっています。

だるさが抜けない、食欲が戻らない。そういう声をこの夏は何度も聞いてきました。

こういうときこそ、大きなことをしようとしないでください。

まずは、夏の間に体から出ていったものを、秋までに戻しておく。

そこからで十分です。

体は正直です。

戻すものを戻していけば、ちゃんと応えてくれます。

気になることがあれば、施術のときにいつでも声をかけてください。

食事のことでも構いません。一緒に考えさせていただきます。

 

 

 

 

監修:院長

記事制作・編集サポート:じっこ

 


 

参考にした資料

環境省「熱中症環境保健マニュアル」

日本救急医学会「熱中症診療ガイドライン2024」

 

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